Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いぼ

童話集 ごんぎつね|最後の胡弓ひき ほか十四編

新美 南吉

Lesen Sie 童話集 ごんぎつね|最後の胡弓ひき ほか十四編 (いぼ) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.278 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

」

と弟の杉作が、なきだすまえのわらい顔でいいました。

松吉も、なきたい気持ちでした。だまって目をつむりました。

「ぼくも、もう、だめや。」

と、克巳もいいました。

松吉は目をひらくと、きっぱり、

「もどろう、そろそろいこう。」

と、いいました。

そして、たらいを、ぎゃくの方向に、ぐいとひとつおしました。

杉作も克巳も、だまっていました。しかし、松吉についていくより、しかたがありませんでした。つかれきったふたりの顔に、かすかにわきあがる力のいろが見えました。

たらいは、動いていくようには思えませんでした。いつまでたっても、もとの土手に帰りつくことは、できないように見えました。

三人は、ときどき、ちっとも近くならない土手の方に、ちらっちらっと、絶望したような目をなげました。

そのとき、松吉の口をついて、

「よいとまァけ。」

という、かけ声がとび出しました。

よいとまけ――それは、いなかの人たちが、家をたてるまえ、地がためをするとき、重い大きいつちを、上げおろしするのに力をあわせるため、声をあわせてとなえる音頭です。それはいなかのことばです。町の子どもである克巳に聞かれるのは、はずかしいことばです。